海洋生物による金属元素の特異的濃縮

エラコによるバナジウムの高濃度蓄積


エラコ (Pseudopotamilla occelata) は環形動物・ケヤリムシ科に属し、主に東北地方の海に生息しています。バナジウム濃縮生物としてはホヤ類が知られていますが、バナジウムを高濃縮するAscidiiae科に属すスジキレボヤの体全体のバナジウム濃度は250 μg/gです。一方、エラコでは体全体で500 μg/g, 鰓冠で5,500 μg/g, 局在場所である上皮細胞の液胞でのバナジウム濃度は100,000 μg/g にも達します。


エラコはFan wormの仲間で、Radioleが多数集まって鰓冠を構成します。鰓冠では呼吸と摂餌が行われています。


鰓冠の縦断切片写真
(Radioleからpinnuleが出ています)

鰓冠上皮付近の電顕写真
(上皮細胞の頂端部に液胞がみえます)



鰓冠上皮のEPMA分析
(矢印の白い所でバナジウム濃度が高い)

液胞部分に対する分析電顕
(凍結超薄切片を作製しました)



バナジウムの化学形をシンクロトロン放射光X線分析in vivo化学種解析したところ、右の図に示したように生きた状態においてバナジウムは酸化状態が3価で正八面体構造をとっていることが分かりました。大気中で乾燥させたり、ホモジナイズすると酸化状態が4価に変わり、立体構造の対称性がくずれます。なお、バナジウムはエラコ中ではイオンとして存在しているので通常の固定、包埋では流出します。



ホヤとエラコでバナジウム濃縮に関係する遺伝子が同じかどうかの課題が残っています。



オオハネモによる金属元素の高濃度蓄積|エラコによるバナジウムの高濃度蓄積|シャコガイによる金属元素の高濃度蓄積
ワスレガイによる金属元素の高濃度蓄積マガキガイによるヨウ素の高濃度蓄積リュウキュウヒザラガイによる鉄の高濃度蓄積
マダコによる金属元素の高濃度蓄積海洋生物の硬組織中の金属元素


前のページへ このページの先頭へ 次のページへ



Copyright(C) 2004 ELEMENT BIOACCUMULATION GROUP-All rights reserved-このサイトの転載・転用・複製を禁じます。